No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年4月6日 都内某店


過去に何度か行ている但馬牛勉強会。
選び抜いた純但馬血統を炉窯焼いて、その味わいについて意見交換する会である。
今回用意したのは、まず兵庫で繁殖肥育一貫の上田さんの神戸ビーフのサーロイン。
個体識別番号[1164404512]、血統は照也土井-芳山土井-菊俊土井、月齢31ヵ月(ほぼ32ヶ月)の雌。
もう1頭は、滋賀の福永さんの近江牛リブロースとサーロイン。
また、今後の焼き人生のスキルアップとして、炉窯で肉を焼き続けて20年の炉窯職人に教えを乞い、炉窯での肉焼きを実際に学ばせてもらうことに。
普段はテーブルから眺めているだけの風景の中に自分が入り肉と向き合うという貴重な体験は、新たな学びを多くもたらせてくれた。
実際の肉焼きの模様はBeef-Lab.comにて報告。


(もしかしたら気付かずに食べたことがあるかもしれないが)初めて食べる上田さんの純但馬は、不思議と「昔の但馬牛はこんな味だったのではないか!?」と想像を膨らませてしまうような力強さのある赤身が、ぐいぐいと自己主張してくる。
サシはあっさりとしていて、主役はあくまでも赤身で、その主役を引き立てる名脇役となっている。




福永さんの純但馬は、上田さんのそれとはまた違った表情を見せる。
切り分けられた肉片がまだ生きているかのようなプリプリとした弾力。
その弾力を押しつぶすと弾けるように旨みが放たれる。
しかもその旨みの強さはあまりに強く、頭をたたかれたかのようなショックを受ける。
リブロース



(サーロイン)



こんな肉を食べたことがある人がどの位いるのだろうか。
最高の牛肉を昇華させる最高の火入れを可能にする炉窯。
肉の味わいに感動し、炉窯の威力にただただ唖然とさせられる。
最近の肉ブームを牽引する様々なキーワードがあるが、生粋の肉好きにはぜひキーワードに踊らされることなく肉の旨さの本質を追求して欲しい。