No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年5月29日 炭火焼肉 なかはら


牛肉の枝肉価格がとにかく高くなっている。
生産者の立場から見れば嬉しいことだが、精肉店や飲食店にはとにかく辛いところだろう。
飲食店に卸している精肉店は、なかなか値上げができないだろう。
飲食店もメニューの価格をなかなか値上げできないだろう。
値上げに踏み切れないお店は、どこかで損失を吸収しているか、もしくは品質を下げざるを得ない。
こんなことを考えていると、あるお店が気になってしまう。
市ヶ谷の"なかはら"だ。
店主・中原さんはお客さんにどこまでも愚直に向き合っている。
都内最高レベルの枝肉を1頭買いし、研ぎ澄まされた包丁技術で提供してくれる。
一切の妥協を嫌う中原さんがこの苦境にどう対応しているのか。
こんな心配を胸に市ヶ谷に向かった。
ユッケ
どことなく"かわむら"のタルタルを彷彿させる。
肉本来の旨みが感じられるユッケは、生肉に飢えた身体に染み渡る。
満足度 4

幻のタン
言わずと知れた"なかはら"の定番で、タン先、タン元、タン筋といったタンの全てを味わえるメニュー。
ぷるんぷるんのタン元が素晴らしいのは言わずもがなだが、冷凍されていないタン先やタン筋も味が抜けておらず非常に旨い。
満足度 5




サーロイン
見る者を圧倒するサシの入ったサーロイン。
なんとなく普段より薄いカットになっているように感じたが、それによってサシが強くてもサーロイン本来の旨みを味わいやすい。
満足度 4

ハラミ
分厚いカットのハラミは豊富な肉汁を蓄えていて、その身を噛み切られる瞬間に香りと旨みを一気に広げる。
満足度 5


リブ芯
サーロインよりも厚いカットのリブ芯。
サシが強めだが、赤身の味もしっかりと感じられるのが凄い。
満足度 4

アキレス腱
箸休めにポン酢で味付けされたアキレス腱。
河豚皮のような食感。
満足度 4

内モモ
体温でサシが融点を超え、滑らかさが増す。
香りとコクのある旨みが舌に残る。
満足度 4


ミスジ
ミスジとは思えないほどしっかりと味が乗っている。
満足度 4

肩三角
舌に残る鉄分が甘みをより感じさせてくれる。
満足度 4

イチボ
イチボの中でもナカニク寄りの部分で薄く大判のカット。
しっとりジューシーで、普段食べるイチボとちょっと違った面白さ。
肉の味もしっかりと強い。
満足度 5

切り落とし
こんもり盛られた切り落としは、切り落としと呼ぶには贅沢すぎる。
1枚1枚部位を当てながら食べるのもまた楽しい。
満足度 4

ガーリックライス
贅沢すぎるサーロインにたっぷりのニンニク。
ふんわりと香るニンニクとさらっとしていながら甘みのあるサーロインの組み合わせに身をよじる。
シンプルでありながら極上の味わい。
満足度 5

ここまで堪能して安心した。
こんな状況でも、中原さんは一切の妥協をしていなかった。
相変わらず最高峰の枝肉を使っている。
愚直なその姿を見ると、同年代といえどもリスペクトせずにはいられない。
ただただ凄い。