No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年6月23日 焼肉 しみず


1年前や2年前に比べて、枝
肉価格が異常高騰している今、精肉店や牛肉を扱う飲食店は非常に苦しい台所状況なのではないだろうか。
飲食店であれば、値上げもしくは材料の質を落とさざるをえないのが普通だろう。
そんな中で、元々上物を扱っていたにもかかわらず、品質を更に上げてきているお店がある。
しかも雀の涙程度の値上げで。
この限界に挑戦しているのが不動前の”しみず”。
山手線の外側という立地ながら、圧倒的な肉質と信じられないほどのCPで、連日お客さんで溢れている。
奇跡のCPを実現できる理由は2つ。
まずは家族一丸となった経営によるコストの抑制。
そして肩パーツ全体を仕入れて、それを無駄なく様々な希少部位に分けて扱っていること。
仕入れの拘りも凄い。
正肉は、芝浦市場に足を運び自ら枝肉を選ぶ。
内臓に関しては、通常配達されるものを仕入れるのが常識の業界で、自ら毎日問屋さんに買い付けにいくほど。
これだけやっていて、上物以外が入荷することなどあり得ない。
とにかく手間暇を惜しまず、良いものを手頃な値段で提供することに心血を注いでいるのが分かる。
この日の田村牛は、セリの前に牧場まで生きている状態を見に行ってる個体。
こんなことまでやってるお店が他にあるでしょうか?
厚切りタン
誰もが好きなタン。
だが、こんなタンを食べたことがある人ってどの位いるのだろうか!?
香り、歯触り、食感、味の濃さに味の良さ、その全てが満点。
ちなみに、この日は生の黒タンが1本しか仕入れられなかった関係で、厚切り上タンは5切れのみ。
そのうち4切れは我々のテーブル、残りの1切れは後ろの席にいた某芸能人夫婦が食べてました。
満足度 5


厚切りサガリ
雑味はないのに旨みだけが舌に響く。
瑞々しく、野性味満点の食感。
全ては鮮度の賜物だろう。
満足度 4


厚切りハラミ
ガリとハラミは好みの問題だろうが、今回はハラミに軍配が上がる。
歯茎をつたい口の中を満たす肉汁の旨さは他の追随を許さない。
満足度 5

トウガラシ(5種盛り)
サシの甘みに頼れず、赤身の味わいだけで勝負となる部位だが、その味の良さは特筆すべきレベル。
赤身好きと公言する全ての方に食べてもらいたいほど。
満足度 4

クリ(5種盛り)
部位の特徴を楽しむ為にトウガラシより若干厚くカットされているが、この旨みの濃さを味わうとそれが大正解であることが分かる。
噛み締めながら、舌でこの旨みをまさぐってしまう。
満足度 5

肩ロース(5種盛り)
一般的には脂の少ない部位から多い部位に食べ進めていくのが王道だろうが、ここであえてサシの入った肩ロースを食べてアクセントをつけるのが好きだ。
クリに遜色のない輪郭のはっきりとした旨みに、上品で滑らかな甘みが絡み合う。
舌に感じる滑らかさがとにかく凄い。
満足度 5

ウワミスジ(5種盛り)
5種盛りの中で最も厚いカットなのがウワミスジ
適度な繊維質と甘みを感じさせる部位の特徴を完璧に捉えている。
満足度 4

ザブトン(5種盛り)
最後は最もサシの入ったザブトン。
かなり厚切りで舌の上に乗せただけで消えてなくなる。
食感の王様だ。
満足度 4

テール
ニンニクがたっぷり効いた味付けがテールの筋の甘みと絡み合うって絶妙。
満足度 4

シマチョウ
安定のシマチョウはいつも通り自家製柚子胡椒で。
歯切れ抜群で脂の甘みが最高。
満足度 4

上ミノ青唐辛子
辛さとミノのザクザクとした食感のハーモニー。
満足度 4

実は今回初めて一緒に焼く方がいたので、挨拶代わりに川岸さんのチャンピオン牛のイチボを私から提供して食べてもらった。
薄切りのプレーンには痺れる。
マグロの中トロを超越したバランスと旨み。
とにかく瞳孔が開きっぱなしになるほど。



残りは塊で。
名刺代わりに私なりの焼きを披露し味を確かめる。
(肉好き同士にとって、相手の焼きは名刺のようなものだろう)
厚切りにした分サシのインパクトは増すが、赤身の味わいが負けていないのが流石。
噛むほどに旨みが爆ぜるよう。
とにかく素晴らしい神戸ビーフ、いや純但馬牛だ。