No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年7月28日 ナリサワ

「世界のベストレストラン50」の2015年版では世界第8位に選出された成澤シェフ。
日本人では最高位である成澤シェフがどんな牛肉を扱い、どんな風にフレンチとして調理するのかを体感する為に青山の”ナリサワ”を訪れた。
成澤シェフの料理はフレンチについてド素人の私には少々難しい世界観があるが、それでも自然との共生というテーマについては深く感じる取ることができるものであった。
楽しみにしていた牛肉料理は、まず前菜から。
最初はイチボを細切りにしてあり、何もつけずに食べれば、驚くほど肉本来の味わいが溢れ出てくる。
フレンチとは思えないほどシンプルながら、素材の力強さが如何なく発揮されている。
またソースが絡んだオニオンと一緒に食べれば、味が引き締まり、肉の甘みがより引き立つ。
正直フレンチでこんなに旨い牛肉に出会えるとは想像もしてなかっただけに、初っ端から衝撃が大きい。
続いてしゃぶしゃぶ風のコンソメ仕立て。
湯通しされているが、肉の味はいささかも衰えることを知らずに、口の中で柔らかな食感を振りまく。
ピュアで濃度の高い旨みはしゃぶしゃぶのイチボだけでなく、コンソメのスープも同様。
舌がその旨みの元をまさぐるように喜ぶほど旨い。

コースのメインはもちろん牛肉料理でランボソのステーキ。
ソースはステーキの上ではなく、ステーキの横に添えられていて、まず肉の味だけを確かめられる。
私のフレンチ偏差値が低すぎるのは否定できないが、それでもこんな牛肉がフレンチで食べれるとは想像もしていなかった。
低温でじっくりと火を入れたことが分かる断面は均一に美しく、焼く前の肉色がピンクではなく小豆色であったことも分かる。
しっかりと水分を保持できる肉繊維は程よい弾力がありながらも、奥歯に力を込めれば溜め込んだ旨みを放ちながら断裂していく。
あまりの肉本来の味の良さに、ほとんどをそのまま食べてしまったが、最後の2口はソースでも食べてみる。
ソースとの出会いでランボソはまた違った面を見せてくれ、ソースが肉の味を覆い隠すことなく、あくまでも主役は牛肉であることを教えてくれる。



今までフレンチで牛肉に拘っているお店がないと勝手に思い込んでいたが、それが間違いであったことに今回気付いた。
今回成澤シェフが用意してくれていたのは、なんと兵庫の勢戸さんの三田牛であった。
東京で勢戸さんの三田牛が食べれるお店なんて、”あら皮”のような炉窯ステーキ店しか思いつかない。
生産者で素材を選ぶ成澤シェフは、他にも近江の岡崎さん、三重の伊藤さん、鹿児島の野崎さんといった生産者と直接やりとりをしながら牛肉を仕入れているようだ。
おそらくここまで牛肉にもこだわっているフレンチのシェフはいないかもしれない。
だが、トップの方がここまで拘っていれば、きっとそれを追いかけるシェフも現れるだろう。
フレンチの世界で和牛の花が咲くことに期待したい。
ちなみに成澤シェフには牛肉だらけの生産者食べ比べのコースを次回にお願いしているのだが、想像しただけで興奮がおさまらない。
"森のパン2010"木の芽と甘夏





"森のエッセンス・里山の風景"

佐賀県 スッポン

沖縄県 イラブー


北海道 ボタンエビ・岩手県 ウニ

三重県 ハマグリ

静岡県 伊勢海老

京都府 賀茂ナス "祇園祭"

千葉県 乳飲み仔豚

愛知県 活き〆鱧

沖縄県 マンゴー・パイナップル

"ベッリーニ"