No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年7月29日 vitis ヴィティス

ほんの10年前、ステーキの最高峰・炉窯ステーキと言えば“あら皮”を筆頭にその系列店だけで味わえる特別なものであったが、“あら皮”から“ドンナチュール”が独立した以降、嬉しいことにここ数年は特に炉窯ステーキが増えてきている。
本物志向の表れなのかもしれない。
そんな炉窯ステーキ界に登場した異端児が“ヴィティス”の結城さん。
“あら皮”の姉妹店であるで“哥利歐”修行後、炉窯ステーキの聖地・銀座ではなく、あえて中目黒で“ヴィティス”をオープンさせた。
今まで様々な炉窯ステーキを食べて、様々な炉窯を見てきた。
“ヴィティス”の炉窯は、“ドンナチュール”、 “トロワフレーシュ”、 “イデア”、 “ウェスタ”のように炉内空間を広く取るタイプではなく、炉内のスペースはそれほど広くなく、側面にスモークサーモンを作る扉などが設置されており、本家である“あら皮”の炉窯に最も近いタイプではないだろうか。
そして、結城さんが目指すのは炉窯ステーキの普及。
できるだけ手頃な値段で、より多くの人に食べてもらい、炉窯ステーキの魅力を知ってもらいたいと考えている。
コースは1本で、“あら皮”を彷彿させるスモークサーモンの前菜からステーキ200gにデザート、カフェまでついて15,000円(2015年7月時点)というのは、一見安くは見えないが、内容を考えれば破格のコースと言えるだろう。

日によってコースの内容もステーキも変わるようだが、この日のステーキは常陸牛のサーロイン。
3人の訪問のため、大きな600gという塊で焼き上げられているが、表面は絶妙なクリスピー状で内部は艶めかしい赤みを綺麗に残している。
ナイフを立てれば、クリスピー状の表面にサクッと音を立てて刃が入り、そこを過ぎると吸い込まれるようにスーとナイフが進む。
焼きムラの絶妙な焼き上がりで、中心部分の色は変わってないが、熱はしっかりと届いている。
火の打ちどころのない、炉窯の特性を完璧に捉えたステーキには脱帽だ。
幻のスモークサーモン


15種類の新緑野菜のガスパチョ


イサキの香草パン粉焼き


本日の特選サーロインステーキ



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