No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年8月30日 焼肉 しみず

「王覇」という言葉をご存知だろうか。
Wikipediaによると、
孟子は古今の君主を「王者」と「覇者」とに、そして政道を「王道」と「覇道」とに弁別し、前者が後者よりも優れていると説いた。
孟子によれば、覇者とは武力によって借り物の仁政を行う者であり、そのため大国の武力がなければ覇者となって人民や他国を服従させることはできない。対して王者とは、徳によって本当の仁政を行う者であり、そのため小国であっても人民や他国はその徳を慕って心服するようになる。
ということだ。
焼肉業界において「覇道」を突き進もうとしているお店は多い。
しかし「王道」を突き進もうとしているお店はどれほどあるのだろうか。
もし「王道」突き進むお店を知らないのであれば、すぐに不動前にある"しみず"行くことを進言したい。
もちろん予約時には厚切りタンとハラミの取り置きのお願いを忘れてはいけない。
饅頭みたいな分厚さの本物の生の黒タンの根本をほぼ原価で提供してくれる。
食感、濃厚で深みのある味わいは都内でも比類なきレベル。
タン好きであればあるほどその凄さが分かるはずだ。

厚切りタンを食べれたラッキーな肉好きはきっとハラミとサガリにも出会えるはず。
毎日内臓屋さんに顔を出すことで仕入れることができる最上級の生のハラミはプルプルとしていながら、野性味溢れる食感で、凝縮した旨みを詰め込んでいる。

これを食べずして"しみず"に来たとは言えないのが5種盛り。
田村牛や神戸ビーフを中心に都内トップクオリティの正肉を揃え、部位それぞれの味わいの違いだけでなく、通えば通うほど個体による味わいの違いを楽しむこともできる。
都内トップクオリティではあるが、価格は断トツ。
信じられないくらい安い。
そして旨い。
ちなみにこの日は川岸さんの神戸ビーフが入荷していたのでオプションをつけて7種盛りに!

ホルモン類もおすすめが多いのだが、今回は秘蔵のカルビを教えてしまう。
肩三角の一部を使っているのでバラではないが、その分さっぱりとしていながら、肉の味は圧倒的に強い。
何より値段もこちらが心配になる程安い。

店主の清水さんが追求し続けているのは仕入れだけではない。
仕入れた最高の肉質に合わせて化学調味料を一切使わないタレの出来を日々研究している。
昨日より今日の方が旨いように。
今日より明日の方が旨いように。
飛び道具は使わない。
ただ純粋に最高の焼肉を追求するだけ。
そんな"しみず"の「王道」をずっと追っていきたい。