No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年9月29日 神戸牛炉釜炭焼ステーキ IDEA 銀座


毎日のように和牛を食べ続ける中で極稀に出会う飛び切りな肉。
胃袋と心臓を鷲掴みにされたようなインパクトがあるのは年に数回で、たいてい何人か同じ生産者に行き着く。
そして記念すべき肉の日(29日)に運命の出会いが訪れた。
イデア”の一宮さんが味見してすぐに連絡くれたのは、今までノーマークだった生産者、三田の有坪さん。
月齢32か月、血統は芳山土井-丸富土井-菊俊土井の純但馬牛の雌。
500gの分厚いサーロインは、炉窯の中で一宮さんの手によって備長炭のエネルギーを深部まで伝えられる。
時には繊細に、時には豪快に火入れされたサーロインにナイフを立てると、カリッとした薄皮1枚の下は何の抵抗もなくナイフが下まで入る。
ルビー色に輝く断面からは鼻腔をくすぐる芳醇な香りが立ち昇り、その肉片はゼリーの様な食感で口の中を旨みだけで支配する。
一切れ口に運べば一人で頷き、もう一切れ口に運べば一人で唸り、叫びそうになる自分を必死に抑える。
500gを一人でペロリと平らげ、最後に食べた端っこの脂まで何とも上品。




肉の日に旨い肉に出会った。
また一人注目すべき生産者を知った。
これ以上の喜びがあるだろうか!?

ちなみに、
もし最高の牛の1か所だけ好きなところを食べれるとしたらどこを食べるだろうか!?
私が選ぶのはサーロインの一番お尻側。
そう、今回食べた部分だ。
牛の出来が最も出るのはサーロインだと思う。
赤身の味わい然り、脂の質も然り。
その中でも一番お尻側の判の小さいところは、肉の味がより濃く、最も旨みが凝縮しているように感じる。
そこを500gの塊で炉窯で焼く。
これ以上の食べ物はこの世に存在しないのでは?