2015年10月14日 よろにく
あまりに凄すぎるので、この時期はかなり前から高頻度で予約を入れている”よろにく”。
肉そのもの、その食べさせ方、現状に満足しないVANNEさんが肉を通して見せてくれる世界観は他を圧倒する。
一切の妥協なきお任せコース。
この日は和牛と香りのペアリングを満喫することが出来た。
松茸のタン巻き
焼いた松茸と生の松茸の2種類は歯切れや香りを引き出し、タンとのペアリングは最高。
いきなりのけ反るほどの旨さ。
ローストビーフと柿の白和え
ローストビーフを甘みの強い柿と組み合わせているが、嫌みがなくまろやかな仕上がり。
肉そのものの良さが出ている。
炙りヒレ
上品で旨みの強いヒレが炙られることで一段と香り豊かになっている。
ハツ
歯切れはむっちり、舌にはわずかに鉄分が感じらる。
この分厚さだからこそ、素材の良さが更に引き立つ。
タン元(薄切り)
片面のみをカリッと火入れすると、焼かれていない面にも熱が伝わり肉汁が浮き出る。
そして肉汁の浮き出た面を外巻にして食べることで、妖艶な断面が舌を虜にする。
タン元(厚切り)
"よろにく"では珍しいカット。
完璧な火入れが施されたタンは、信じられないほどの歯切れと尋常じゃない旨みを大量に溢れさせる。
カタサンカク
肉の持つ味の濃さがしっかりと主張する旨さ。
焼肉の醍醐味を再認識させてくれる。
ツチノコ
柔らかいのが特徴だが、ただ柔らかいだけじゃない。
香りの良さと旨いの広がり方が秀逸。
ハラミ
肉繊維の1本1本がしっかりと生きていて、滑らかでありながら骨太な食感を生み出している。
コプチャンと松茸の土瓶蒸し
焼肉屋さんであることが信じられない程旨い出汁は、日本料理の一流店に及ばないかもしれないが、そのジャンルで十分通用するレベルではないだろうか。
使われている松茸に関しては全くヒケを取らない。
ちなみにコプチャンもクセがなくて旨い。
シャトーブリアン
ここまでシャトーブリアンの食感を意識した焼肉があるだろうか!?
幾層にも重ねられた肉が空気を含むことでふんわりと軽く、どこまでも繊細に口の中でほどける。
言わずもがな、肉自体の味も完璧。
シルクロース
定番でありながら、ぐっと刺さるメニュー。
一口サイズのご飯がここまでサーロインの旨さを際立たせるのだ。
ミノ
箸休め。
食感秀逸。
松茸しゃぶしゃぶ
一般的な松茸しゃぶしゃぶは「松茸をしゃぶしゃぶ」だが、”よろにく”の松茸しゃぶしゃぶは「松茸でしゃぶしゃぶ」なのだ。
傘の開いた松茸に火を入れることでエキスを浮き出させ、そのエキスで肉に熱を伝える。
純度100%の松茸エキスを全身で吸った肉は強い香気をまとう。
ヒレとサーロインの2種類を食べたが、サーロインに塩を一摘み振ったバージョンが最強。
やはり和牛の上質な脂と松茸のペアリングは素晴らしい。
サーロイン
しゃぶしゃぶ後は饂飩、ではなくサーロイン。
厚切りのサーロインに浮き出たエキスと共に松茸を絞る。
サシの入った部位をさっぱりと、そして芳醇な香りに包んで食べさせるペアリング。
出汁コプチャン
普段はミスジで食べる出汁ミスジのコプチャンバージョン。
ザブトン
黄身に付けて食べるすき焼き風だが、この時期ならではなのは白トリュフをかけること。
これは想像を絶するペアリングで、どんな先入観も吹っ飛ばされる破壊力。
身体全体が白トリュフに包み込まれるかのような錯覚すら覚える。
シルク松茸卵とじ丼
食感、香り、味わいの深み、全てがハイレベルなマリアージュを魅せてくれる。
肉があるから松茸が映える、松茸があるから肉が映える。
問答無用の旨さ。
“よろにく”の模倣店がどんどん増えているが、肉の本質を捉えずして、食べ手を感動させる肉料理をどうやって提供するというのだろう。
とにかく真摯にひたすら肉に向かい合った結果が”よろにく”なのだ。
まず、そこから模倣してみて欲しい。