No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年12月29日 第一回本気の肉パ


第一回本気の肉パ開催。
和牛業界の未来の為、生産者をはじめとした本物に拘り続ける食肉関係者へ少しでも恩返し出来ないか、そんな思いで行っている本気のBBQだが、嬉しいことに回を重ねるごとに参加人数が増えてきてくれている。
料理人、肉マニア、食べ歩き好きな方々に本物の和牛を知ってもらい、共感してもらうことで本物の和牛への需要が高まれば、きっと生産者をはじめとした和牛業界全体が今よりももっと本物志向へと変わっていくはずだ。
本気のBBQは自分にとって素晴らしいイベントなのだが、何しろ参加人数が多く(80人ほど)、色々な方とゆっくり話せなかったり、出したくても出せないメニューもある。
そこで今回の本気の肉パへと繋がったのだ。

第一回の参加者は6人。
参加者全員で集合は東京一の精肉店”銀座吉澤”。
厳選された雌牛は30ヶ月どころか40ヶ月オーバーの月齢まで混じりどれもヨダレ物だが、お店の方と相談しながら更に厳選。
冷蔵庫から出してもらったブロックからその場でカットしてもらい、そのまま車で”ナニワヤ”に寄りネギ等を購入し、いよいよ会場となる都内某所に向かう。
火を起こしたり、出汁をとったり、野菜を洗ったり、参加者全員で準備を進めるのは何とも楽しい。

準備をしながら本気の肉パはスタート。
まずは内モモを刺身でつまむ。
今は飲食店では食べれない牛刺しを完璧な管理の下で自己責任で食べれるのもパーティならでは。
久しぶりに食べたからではない。
ここまで肉の味が濃い牛刺しには滅多に出会えない。
香りの良さも抜群で、くどさを一切感じさせない脂の甘みも秀逸。


ステーキは月齢32ヶ月の田村牛のシャトーブリアンとランプ。
唯一バルコニーでの作業となったステーキだが、網の上で育っていく肉塊を見ていると不思議と震える身体が温まる。
シャトーブリアンはもちろん、ランプまで肌理の細かさを感じ、口の中を占拠する旨みに思わず目を閉じてしまう。
銀座で食べたら諭吉さんが何枚必要か分からないようなステーキだ。










昆布と鰹節でとった出汁でしゃぶしゃぶするのは32ヶ月田村牛と41ヵ月山形牛。
贅沢過ぎるサーロインの食べ比べだ。
どっちが旨いとか、そんな野暮を言えるような旨さではなく、とにかく味わいの方向性を舌と鼻で感じる喜びがある。
肉自体の味わいが豊かな上に、出汁の旨みが合わさり、最高のしゃぶしゃぶ。






我ながら衝撃的だったのは、300g近い田村牛のシャトーブリアンヒレカツ
しっかりと中心まで熱を届けているが、断面は均一な赤みで仕上がり、牛肉を超える芳醇な香り。
細かな衣をまとうことで際立つ繊細さ。
そしてヒレとは思えないずっしりとした旨み。
牛肉の神様がいたとしたら唸るに違いないヒレカツだ。









ヒレカツで最高潮に盛り上がったところで、すき焼きでしゃぶしゃぶと同じ食べ比べ。
割下は私が日本一すき焼きが旨いと思うお店に無理を言って送ってもらったもの。
甘くてコクのある割下がちゃんと脇役になるような牛肉の存在感。
本当に牛肉自体の旨さが溢れるようなすき焼き。




〆は参加者が焼いてきてくれたロールケーキでフィニッシュ。
買い出しから準備、食事中、片付けに至るまで、肉談義で盛り上がりながら、最後まで楽しめた肉パ。
重度の肉マニアの歓談の場として、本気のBBQの為の実験の場として、少人数でしか行えない内容も楽しみつつ第一回本気の肉パは無事成功。
気軽に行える本気の肉パは今後もちょこちょこと開催し、次回の本気のBBQにもその成果を出せればと。