No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年2月8日 TROIS FLECHES トロワフレーシュ


ステーキは敷居が高いと思ってないですかね?
確かに焼肉と比べると懐の痛み具合は違う。
しかし、焼肉を食べまくっている肉好きの生息数に比べて、肉好きのステーキ出没数は少ないように感じる。
ステーキには、ステーキでしか味わえない境地があるので、ぜひたまには焼肉を2回我慢してステーキの世界に飛び込んでみてはいかがだろうか。

“トロワフレーシュ”は”あら皮”出身の森地さんのお店。
“あら皮”と同じように炉窯ステーキを堪能できるのだが、森地さんの接客のおかげで他の高級ステーキのような緊張感を一切感じることなく、初めてでも自分の希望を伝えやすく、臨機応変に対応してもらえる。
この日森地さんが用意してくれたのは肉尽くしのコース。

前菜は肉のパテと熟成肉の生ハムから始まった。
ねっとりとした旨みと独特の香りが強い生ハムは、熟成肉の良さを最も感じられるメニューだと再認識。


「サーロインのピザです」と言って運ばれてきたお皿には、食パンの上に薄切りのサーロインが乗せられている。
正直に白状すれば、一口食べるまではその真価を過小評価していたのだが、その味わいを知ってしまうと自分を恥じることしか出来ない。
塩を使っていない食パンが味わいを支え、サーロインとチーズが絶妙に絡み合っている。

ヒレカツは衣が薄いながらもしっかりとした存在感を出していて、肉の旨さと衣の旨さが競い合うように広がる。


メインはもちろんステーキ。
短角牛はよい意味で噛み応えがあり、赤身のピュアな旨さが凝縮している。





ランプは黒毛和牛。
短角牛のような噛み応えがある一方、舌を包み込む上品な旨みは秀逸。



シャトーブリアンは岩手の奥州牛。
肉繊維に歯を立てると今までとは全く違い、スーと歯が入り込む。
香りも高く、繊細な食感と共に気持ちを盛り上げる。





サーロインもシャトーブリアンと同じ個体だが、このサーロインの旨さは群を抜いている。
脂のベタつきが一切なく、ゼリーのような食感から赤身の持っている濃厚な旨みが花を咲かせる。
「Sir(サー)」の称号に相応しい最高の部位。






最後の最後でデザートまで異常に旨いのが"トロワフレーシュ"。
和牛を追求する求道者にこそ訪れて欲しい名店だ。