2016年3月9日 冨味屋
浅草の焼肉横丁と呼ばれる細い路地に光る赤い看板。
一昔前によく見かけられたレトロな雰囲気の焼肉屋さんがそこにある。
引き戸を開ければ、テーブル席と小上りでそれぞれ2卓ずつのこじんまりとしたつくり。
しかしながら、この”冨味屋”こそ、”カルネヤサノマンズ”で腕を振るう高山さんのご実家の焼肉屋さんであり、マニアには知られた名店なのだ。
コブクロ刺
コリッコリのコブクロは春菊と一緒に。
辛味の中にほのかに感じる甘みが秀逸。
満足度 4
センマイ刺
瑞々しさがあり淡白なセンマイ。
満足度 4
卵焼き
上タン
運ばれてきたタンは飾り気こそないが、焼いて食べればサクサクとした見事な歯応えで値段からは考えられない程旨い。
満足度 4
レバ
食感がしっかりしたタイプのレバ。
臭みもなく、強めの味付けにもマッチしている。
満足度 4
ハラミ
サガリが中心だろうか。
適度な厚さがあるため、そこに詰め込まれた肉汁がタレと絡み合うと旨すぎる。
満足度 4
上ハラミ
こちらはハラミの中でも厚みのある部分をカットしてくれているが、奥歯で噛み締めれば肉汁が溢れ出汁、濃密な味わいを届けてくれる。
満足度 5
モツセット
この日はギアラ、ミノ、センマイ、コブクロの盛り合わせ。
丁寧に下処理されたホルモンはどれも臭みなどなく、味噌ダレも強すぎず見事にホルモンを引き立ててくれる。
満足度 4
(ギアラ)
(ミノ)
(センマイ)
(コブクロ)
ホルモン
脂をきっちり落としたタイプのシマチョウ。
噛めば噛むほど味がしみ出し、タレとより絡まる。
満足度 4
上ハラミ
我慢できずにお代わり。
満足度 5
ミノ
盛り合わせの中でも特に際立っていたのがミノで、細かく包丁を入れることでヒダヒダが絶妙な歯応えを生み出している。
あまりの旨さにお代わり2回。
それにしてもビジュアルやば過ぎる。
満足度 5
モツチゲ
石焼きビビンバ
”冨味屋”は、流行ばかりを追いかけるお店に疲れた肉好きにこそ行って欲しい下町の名店。
本質を知ろうとせずに飾られた言葉だけで牛肉を選び、バランスを考えずにひたすら他の食材の足し算に励むお店もある中で、昔ながらのきっちりとした仕事をこなすお店に心が惹かれてしまう。
素材である牛肉は切り置きせずに注文が入るごとに丁寧に、そして素早くカットされる。
そしてタレはくどさがなく、素材の持ち味を消し去らない甘さで、それでいてご飯が欲しくなる。
店主は当たり前のことをしているだけと思っているかもしれないが、今の焼肉業界でこういった派手さのない拘りはだんだん少なくなってきているのは悲しいことだ。
とにかく、浅草の裏路地にひっそりと佇む名店には、忘れかけた古き良き焼肉があるのだ。