No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年9月26日 よろにく


一般的には季節感を感じ難い焼肉だが、”よろにく”で焼肉を食べると常にその時々の季節が感じられる。
この時期はいよいよ国産松茸が本格的に入ってきていた。
この日は岩手県産で、机の上にこの日使われる松茸が置かれた瞬間に秋の訪れを感じずにはいられない。
東京の焼肉はトップランナーの模倣が激しく、やはり松茸を使い出すお店もいくつかあるが、日本料理の一流の料理人でも驚くという特殊な仕入れルートから採れたての松茸が届く”よろにく”とはやはり何もかもが違う。
トウガラシの炙り
レアでこそその旨さを発揮するトウガラシは軽く炙られ、細切りにされた松茸とキャビアと一緒に。
単に贅沢なだけでなく、バランスが取れた完成度。

ローストビーフの松茸いなり寿司
松茸ご飯をサーロインのローストビーフで包んだいなり稲荷寿司。
松茸とサーロインの相性が完璧で、サーロインが蕩けるソースの様に松茸とご飯に絡む。


巻きと松茸のグリル
“よろにく”では珍しい松阪牛の巻きをグリルし、松茸と和えてある。
融点の低い脂と松茸は本当によくあい、香りも素晴らしい。

タン元(薄切り)
松茸をロースターで焼き、片面焼きしたタン元で包んで食べる。
食感と食感、香りと香り、それらがケンカせずに手を繋いでいる。



タン元(厚切り)
この日初めて松茸が入らないメニューは黒タンの贅沢な厚切り。
食べる者を虜にする魔性の要素が詰まっている。


カイノミ
カイノミは大きな部位だが、ヒレにくっついている部分は繊細な肉繊維が幾重にも重なり上品な食感を教えてくれる。


ランプ
薄切りとは思えない旨みがあり、甘めのタレにも負けていない。

ツチノコ
ふんわり柔らかな食感で和牛にしかない要素がある。

松茸の土瓶蒸し
牛肉で取った出汁にコプチャンと大量の松茸。
しつこさがなくすっきりとした上品な出汁で、松茸の香りが非常に強く、さらに旨さを引き立てる。


シャトーブリアン
小振りで端整な顔立ちのシャトーブリアン
見た目通り絹豆腐の様な柔らかさとうっとりするような風味を持ち合わせている。

ミノ
サクサクの食感で焼き過ぎ注意。

シルクロース
巷に溢れている味が無くて脂がしつこいだけのサーロインとは完全に別物。
肉にしっかりとした味があり、さらっとした脂がご飯に溶け込んで旨さが増す。

サーロイン
厚切りのサーロインには焼いた松茸を絞ったエキスをたっぷりと浴びせる。
サーロインと松茸の相性を今更語っても仕方ないが、松茸の香りをまとうことで別次元までいってしまう。




ヒレカツ
均一なレアな断面と細かで軽い衣が肉の旨みを引き立てる。
焼肉屋の範疇にとどまらず、全ジャンルの中で完成度の高さは随一のヒレカツ




ザブトンのすき焼き
もはや定番になっているザブトンのすき焼きのトリュフかけ。
口に入れた瞬間に脳まで響くその旨さは、飽きるどころか何度食べても身をよじってしまう。




シルクロース茶漬け
ご飯の上にシルクロースを乗せ、更にたっぷりの松茸。
そこに出汁を注げば、シルクロースはほんのり頬をピンクにし、松茸の香りもより際立つ。
上品かつ贅沢この上なく、これを食べる為だけでも”よろにく”に来たくなる最高の〆。



一切の妥協を排除した”よろにく”のお任せコース。
最高の素材、最高の技術、そして比類なき情熱。
ここが頂点であることを訪れる度に実感する。