No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2017年1月12日 くにもと 新館

初めて”くにもと”を訪れたのは10年以上前だろうか。
他のお店より旨い焼肉屋と感じたが、それでも最初は”くにもと”の凄さを100%までは理解していなかったかもしれない。
それからも通い続けるうちに、どんどん気付かされていく。
ド派手なパフォーマンスが焼肉業界を席巻するようになればなるほど、”くにもと”の凄みが浮かび上がる。
“くにもと”の焼肉に派手さはない。
しかし、仕入れている牛肉はサシの量に頼ることなく、肉そのものの味が際立った都内随一の肉質。
職人が経験とセンスで包丁を入れる匠のカット。
牛肉の味を消すことなく、より引き立てる至高のタレは、個人的に数ある焼肉屋の中で最も好きなタレ。
まさに“くにもと”には質実剛健という言葉がぴったり当てはまる。
この日用意されていたのは鳥取県産の田村牛で、まずは塩の2種から。

カイノミ
厚めにカットされたカイノミは繊維質がほどけるように崩れ、そこから肉の旨みがじわーと広がる。
塩ダレの加減まで絶妙。

友三角
サシの入った友三角だが、見た目のイメージとは全く違ったすっきり感。
上品すぎる甘みが舌を撫でる。

日本一のタレで食べれるのが4種類とは嬉し過ぎる。

亀の子
赤身の強い亀の子だが、薄切りを大判にカットしてあり、食感と口の中でのボリューム感が計算し尽くされている。

リブかぶり
細かなサシの入った部位だが、"くにもと"秘伝のタレとの相性は最強。
角のないまろやかさが、肉の味をより際立てる。

うちもも
亀の子の様に赤身の強い部位だが、食感はより柔らかいので、カットもそれが考慮されている。

サーロイン
巷の焼肉屋ステーキ屋で遭遇するサーロインとは一線を画すなめらかさと甘み、そして肉の味。
噛まなくてもの飲み込めるような繊細さだが、噛み締めればより肉の味が湧き上がる。

切り落とし
追加した切り落としはコリアン風の辛味ダレ。
インパクトの強いタレだが、肉の味を消し去らない絶妙なバランス。

これ以上ない食後の満足度。
今すぐもう一度食べたくなるほどだ。
焼肉を食べ込めば食べ込む程、こういったお店に行き着いてしまう。