No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2011年10月28日 九州和牛 SATOブリアン


何とも贅沢な催し。
お肉を見ながら、カットや味付けを相談しながら食べ方を決めていく。
オートクチュール焼肉』とでも呼べばいいのだろうか!?
毎月肉の日(29日)はシャトーブリアンが半額になるという"SATOブリアン"。
今回はその前日に訪問したわけだが、翌日が肉の日ということもあり、店内は空いていたようだ。
そんな絶好な(?)状況で実現したのが『オートクチュール焼肉』である。
タン(Tongue)
元々品数を絞って、それぞれの部位に拘っているお店だが、ここ最近は特にタンの力を入れているとのこと。
仕入先の九州のお肉屋さんに厳選して送ってもらっているというタンは、生の黒タンの中でも特級と呼べるのではないだろうか。
『根本部分を1cm位の厚さで。』というオーダーで切り出されたタン元は、綺麗なピンク色で艶やか。
前歯に当たるサクッとした歯応え、細かな肉片1つ1つにまで詰まった旨み。
都内トップレベルのお店と遜色ない最高のタン元であった。
もし、こんなタンを毎回仕入れる事ができるのだとしたら・・・、恐ろしい。


ハラミ(Outside-Skirt)
一番肉厚な部分を塊で。
ハラミの塊を焼く際に留意しているのは、肉繊維と同方向に火を入れるのが難しいところ。
ついつい、肉繊維に垂直方向の火入れ時間が長くなってしまう。
自分的には満足できる焼き上がりのハラミは、とにかく火傷必至の肉汁の量。
火傷を恐れずにかぶりついた者だけが、至福の旨みを堪能できる。



ミスジ(Oyster Blade)
ミスジは場所によって食感がだいぶ違うので、筋が口に残らない極上部分を。
個人的には"ジャンボ"のような薄切りタレの食べ方がミスジの一番旨い食べ方だと思っているが、今回はあえてちょっと厚めの塩でお願いしてみる。
イメージ的には"くにもと"のミスジカットかな。
結果的には見事に裏切られた。
勿論良い方向にだ!
適度な厚さ故に保持できているであろう旨みが、実に濃厚なのだ。


イチボ(H-bone)
頭の部分を極厚カットで。
噛み締める毎に広がる風味は芳醇で、コクのある旨さ。
やはり厚切りがイチボの肉質を最大限活かすカットなのだと実感した。



シャトーブリアン(Chateaubriand)
実は今回はロースターを2台使用している。
1台は目の前のロースターで上記のお肉を焼いてきた。
もう1台は後ろの席のロースターで500gオーバーのシャトーブリアンをじっくりと焼いていた。
実に2時間も。
さすがにガス火のロースターで、シャトーブリアンの繊細な食感を残す焼き方をすると、今回の大きさは限界ギリギリかな。
特に今回は雌牛ということで特に判が小さく、高さがすごかったし。
この高さでも火入れは上下2面のみ。
段々低くなって、丸みを帯びていく姿は実に艶かしい。
折れそうになる気持ちを奮い立たせてしっかりと最後まで火を入れた塊は、どこまでも繊細で優しい旨みがゆっくりと広がっていく。





オートクチュール焼肉』という贅沢な形を実現してくれた佐藤さんには感謝したい。
そして、今まで体験したことのない効用を感じたのは言うまでもない。
これからも更なる高みを目指して欲しいお店である。
ちなみに個人的には、もし厚切りのシャトーブリアンを"SATOブリアン"で食べようと思ったら、250gか300gならある程度が焼き易く、厚切りでしか味わえない旨さを体験できるのではないだろうかと思う。