No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年12月25日 第1回和牛を愉しむ会(但馬牛)


『ブランド』とは何か!?
鞄や洋服を例にすると非常に分かりやすいのだが、それが牛になるとこれが非常に厄介だ。
多くの批判を受けるかもしれないが、あえて言わせてもらうと多くのブランド牛は品質のバラツキがあまりに激しい。
もちろん牛の個体差は多いかもしれないが、それ以上に生産者によるバラツキが多いのではないだろうか。
これは良い意味もあれば悪い意味もある。
最低水準がある程度設定され上振れがあるのであれば良いが、下振れが激しいことはそのブランド名を信頼して購入する消費者にとって非常にありがたくない。
そういったことがブランドの魅力の引き下げに繋がるのではないだろうか。
こういったことから自分でお肉を購入する際は、ブランド名より生産者名を意識してしてしまう。
もちろんそれでも個体差があるのは否定できないが、意識の高い生産者のお肉はやはり旨いものが多いのも事実だ。
そこで、自分の好きな生産者、血統や下振れの少ないブランドらしいブランド牛を食べて愉しむ会を開催したいという思いがあり、今回その第1回を開催することができた。
第1回は現在の和牛の祖と言える但馬牛。
但馬牛生産者の中でも私の心を鷲掴みにしているのは田村さん[神戸、鳥取]、川岸さん[神戸]、勢戸(和孝)さん[三田]、福永さん[近江]がいらっしゃるが、今回はその中でも勢戸さんと福永さんのお肉を手に入れることができたので、炉窯のある某ステーキ屋さんに無理なお願いをし、最高の焼き加減で愉しむことができた。
勢戸さんのお肉は2箇所のお店から購入。

"ミカゲヤ"からは個体識別番号[0844308003]、福芳土井-谷福土井-鶴丸土井の月齢39ヶ月の雌。
シャトーブリアン



サーロイン


"竹園"からは個体識別番号[1338058213]、丸宮土井-菊俊土井-福芳土井の月齢35ヶ月の雌。
サーロイン



福永さんのお肉はご兄弟が経営されている"福永喜三郎商店"から。
個体識別番号[1334996779]、菊西土井-福広土井-豊菊波の月齢38ヶ月の雌。
イチボ



個体識別番号[0841244083]、菊西土井-北宮波-谷福土井の月齢38ヶ月の雌。
サーロイン



これらに加えて、生産者の指定はしていないが但馬牛を愉しむ一環でドライエイジングの"中勢以"からも。
サーロイン



この和牛を愉しむ会はその名の通り愉しむことを目的としており、食べ比べというものとは若干意味合いが違う。
その為、それぞれの寸評について書かないが、それぞれの生産者や熟成による味わいの違いはしっかりと感じることができ、その生産者の凄さと但馬牛というものの魅力を存分に感じることができた。
肉繊維の肌理の細かさ、奥歯を伝って広がる濃厚な肉本来の旨み、そして甘みがしっかりとしていながら軽やかな脂のキレ等、どれも他の黒毛和牛で感じるそれらとは一線を画すものかもしれない。
今後も定期的にこの和牛を愉しむ会を開催して、今回同様、和牛好きや和牛を扱うお店の方と一緒に愉しめたら嬉しい限りだ。
ちなみにこの会は場所を提供してくれたり、調理をしてくれるお店のご協力があって初めて開催可能な会であり、今回ご協力していただけたお店にはこの場を借りて心からお礼を述べたい。
そしてもしこういった会へご協力していただけるようなお店があれば、ぜひ連絡いただきたいものだ。
もちろん会に興味があって参加希望でも。
ちなみに今回は参加してくれたお店の方のご好意で黒毛和牛の生のハラミが入手できたので、それも炉窯で焼いていただいた。