No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2014年6月10日 和牛焼肉 KIM


"KIM"の料理長・吉田さんから突如届いた『ヒレ地獄片道切符』。
兵庫の太田さんが肥育した雌牛のヒレが入荷し、それがあまりに凄かったので写真付きで招待状が届いたのだ。
ということで、小雨の降るある夜にヒレ地獄に足を踏み込む。
まずヒレ地獄の1丁目は炙りから。
軽く炙った刺身と握りで味わうが、ねっとりとした触感で肉の味もしっかりとしている。
特に刺身ではダイレクトに伝わる旨みに酔いしれる。


焼肉では厚切りに軽く塩をして、太田さんのヒレと普段"KIM"で扱っている山形牛のヒレを食べ比べ。
山形牛は旨い。

だが、太田さんのヒレから感じられる旨みは圧倒的で、コクがあり食感も完璧。


薄切りタレでも同様の食べ比べを。
アクセントのある"KIM"のタレで違いは若干分かりにくくなるが、それでもやはり旨さは別格。


ここでヒレ筋のコンソメスープが登場。
"かわむら"を意識したのかと想像してしまうような内容だが、出汁はヒレではなく脛でとってありヒレ筋は具として入っている。
香りも良いがとにかく脛から牛肉の旨みがしっかりとスープに移されている。
もちろんヒレ筋も旨い。

本当のヒレ地獄はまだまだこれから。
次はなんとヒレカツヒレハンバーグの盛り合わせ。
ヒレの赤身の強い部分を厚切りで揚げたヒレカツは、肉らしい味わいが深く、繊細さよりもむしろ肉々しさを感じる。

そしてヒレハンバーグ。
"かわむら"以外でヒレハンバーグなんて食べたことがない。
肉汁が噴き出すような流行のハンバーグではないがぱさぱさ感はなく、赤身の旨さがダイレクトに伝わる味わい。

遂に地獄の底に到着。
最後はシャトーブリアンを使ったヒレステーキ。
オニオン山葵のソースは個人的にはあまり好みではないが、シャトーブリアンから解き放たれる旨みは濃厚で、肉繊維がほどけ奥歯で噛みしめられる度にそれを感じる。

今回の個体は但馬血統ではなく岐阜から導入したもの。
生産者の方々からは、最近は岐阜の子牛が良くて高いと聞いていたが、それも納得。
そしてやはり生産者の技術も素晴らしいのだろう。
ヒレ尽くしのコースというと"かわむら"が頭に浮かぶが、そこから洗練さを少し削って大胆さを加え、より味の濃い肉に切り替えると今回のヒレ地獄になるのだろうか。
とにかくヒレ好きには堪らない。