No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2014年10月7日 都内某店

4種ある和牛の中でも噛み応えはあるが赤身の味に定評のある短角牛。
日本の和牛市場での黒毛和牛の圧倒的な人気に押されてそれ以外の和牛の飼育頭数は少ないが、短角牛も例外ではない。
元々出荷頭数が少ない短角牛のタンやハラミとなれば、その入手は非常に困難で、都内の飲食店で見かけることは珍しい。
あるとしても昔から定期的に仕入れていて、その延長で現在でも仕入れが可能という場合だろうか。
そんな中短角牛を多く取り扱う業者さんとの付き合いがある方に無理を承知でタンとハラミの仕入れをお願いしたのが1か月半以上前。
どうしても食べてみたいという欲求を抑えきれずに図々しいお願いをしたタンとハラミが遂に入荷した。
しかも生の良い状態で。
仕事を終えてから生タンと生ハラミを取りに行き、これらを持ち込ませてくれるお店に電車で向かう。
じっしりと感じる重さは、それらの貴重さをさらに感じるようでもある。
普段見慣れた黒タンとは違い、当然のように白タンだ。
まずタンは根元を厚切りで。
根元とはいえ、ザクリとした食感は黒タンの根元とは全く違ったもの。
しかし硬すぎることはなく、むしろ歯切れは抜群だ。
味もしっかりとしており、想像以上の旨さに驚くばかり。




ハラミは一番分厚い部位を塊で、それに続く部位をサイコロカットで。
レアの火入れでぷりぷりした力強く弾力のある食感で肉々しさが強烈。
噛み締めれば噛み締めるほど遠慮なく旨みが溢れる。
ガリはサイコロカットだが、こちらは少々硬すぎる印象もある。
もちろん旨みは問題ない。
最後はハラミを薄切りにしてもらいタレで。
ぷりぷりした食感は残るが、薄切り故柔らか。
タレとの相性も悪くない。




今まで正肉のロースしか食べたことのない短角牛だが、タンやハラミに関してもその味わいは共通したものがある。
状態が良く、旨みがしっかりとしているので、肉好きは喜ぶレベルなのは間違いない。
ただ、同時に黒毛和牛の偉大さも再認識できた。
日本人に好まれ、圧倒的な頭数が肥育されている黒毛和牛の旨さはやはり絶対的なものであり、貴重な物の方が旨いという迷信は当てはまらない。
牛はどれも旨い。
特に和牛は素晴らしい。
黒毛和牛も短角牛もそれぞれの良さがある。
最高じゃないか、牛肉!