No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年1月1日 実家(銀座吉澤)

1年の肉運を計る『焼き初め』。
2016年焼き初めは元日に実家にてすき焼きを。
年末年始に食べる牛肉はここ数年変わらず”銀座吉澤”でお願いしているが、今回も凄すぎる個体を選んでもらった。
浜口さんの松阪牛、34か月、雌



岡崎さんの近江牛、43か月、雌




どちらの個体も兵庫県産但馬牛を素牛にしている純但馬血統という拘り。
うっとりするような濃い肉色のサーロインは、すき焼き鍋に広げられた瞬間にジュッという音と共に和牛独特の香りを放つ。
日本一すき焼きが旨いと思うお店に無理を言って送ってもらった割下をかければ、寝かせた醤油が持つ複雑な風味とコクのある甘みが肉を包む。
うっすらと赤みが残る状態で卵に漬け、白米の上で2度ほどバウンドさせて頬張れば、世界一旨い牛肉料理に脳が痺れる。
日本人のDNAに記憶されている牛肉の味がそこにあるのだ。
どちらの個体もサシで蕩けるのではなく、柔らかな肉繊維がホロホロとほどけていき、それを噛むことで割下に隠れてしまわない肉の味が顔を出す。
風味や力強い味わいなど、個体によって微妙な違いを楽しめたのはもちろんだが、そのどちらも信じられないほど理想的な仕上がりで、肉の味がすこぶる良い。
元日からこれほどの牛肉を食べれた2016年。
今年も最強の肉運を引っ提げて食べまくるしかない。