No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年2月29日 第二回本気の肉パ


2015年12月29日、2015年最後の肉の日に第一回が開催された『本気の肉パ』。
少人数であるが故に全員で準備や片づけをしながら、色々な遊び心を盛り込め自由度が高いのが魅力の一つ。
ここで感触を掴んだ肉料理は『本気のBBQ』で提供することも出来るだろう。
今回は記念すべき4年に1度のうるう肉の日に、前回と同じ都内某所にて第二回本気の肉パを開催できた。
所定の時間に”銀座吉澤”に集合し、信じられない程極上品だけがショーケースと奥の冷蔵庫から、あれもこれもと目移りしながら物色をする。
“銀座吉澤”を仕切っている落合さんに相談しながら、時に味見をし、肉を決めるこの時間が幸せ過ぎる。
結局本気の肉パ用に仕入れたのは以下の3頭分から。
堀井さん(三重県)肥育の松阪牛、個体識別番号1369858059、月齢33ヶ月、雌
堀井さん(三重県)肥育の松阪牛、個体識別番号1369827413、月齢32ヶ月、雌
岡崎さん(滋賀県)肥育の近江牛、個体識別番号1356697951、月齢39ヶ月、雌

炭火の準備が整ったあたりで牛刺しが登場。
しかも近江牛の内モモと33ヶ月松阪牛のイチボという豪華な2種類。
内モモはコクのある旨みにバターの様な脂がスーと馴染み、旨みの余韻が長い。

イチボを舌に乗せれば、一瞬で香りが脂が溶け出し、滑らかな甘みと香りが立ち昇る。

イチボは塊のまま火を入れ、ステーキとしても。
火が入るにつれ、パンパンに膨らみ、ヨダレを誘うような仕上がり。
火を入れると生とは全く違った表情を見せてくれ、繊細な肉繊維を奥歯で噛み締めるごとに濃度の濃い旨みが行き場を失い、口の中で暴れ出す。
そうそうお店で出会えるようなレベルではない旨さ。


33ヶ月松阪牛シャトーブリアンも300gの塊で火を入れる。
松阪牛というブランド牛は数えきれないほど食べてきたが、これほど味わいが濃厚で力強さと繊細さが共存している個体があるだろうか。
同じブランド牛でも生産者でここまで違うという事実。
そして我ながら完璧と思える火入れも相まって、これと同等か超えるヒレステーキを食べれるお店は、今のところ1つしか思い浮かばない。








しゃぶしゃぶでは32ヶ月松阪牛近江牛の食べ比べ。
鰹と昆布で取った出汁に潜らせると、肉肌はピンクに色付く。
香りと旨みの華が開いた瞬間を捉えれば、極上の味わいが待っている。


ステーキと同じ33ヶ月松阪牛シャトーブリアンで300gのヒレカツも。
最高の素材を丁寧に火入れし、切り分けた断面を見ればしっかりと中心まで均一に熱が届いている。
あまりの旨さに言葉を失ってしまう。









すき焼きでは近江牛と33ヶ月松阪牛の食べ比べ。
同じ堀井さんの肥育した松阪牛でも32ヶ月の個体と33ヶ月の個体は味わいに差があるのが面白く、個人的には33ヶ月の個体の方が圧倒的に好みだ。


〆は33ヶ月松阪牛を使ったオイル焼き。
参加者全員がオイル焼きというものをよく知らなくてバター焼きの様になってしまったが、素材と良いとどうやっても旨いのだから仕方ない。
ちょっと贅沢過ぎる遊びかな。


少人数で最高の牛肉を好きなように食べ、意見交換し、笑い、片付けまで行う。
楽しく贅沢な時間は何物にも代え難い。
次回はそろそろ『本気のBBQ』の準備を始めないといけないかな。