No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年3月14日 焼肉 しみず


頭数の減少、飼料や子牛価格といったコストの高騰からくるここ最近の牛肉価格の高騰は何をもたらすのか!?
コスト削減により通常よりも早期出荷された牛でもある程度の値段でセリ落とされる状況が続くのであれば、平均的な牛肉の品質低下はじわじわと足元に忍び寄ってくるだろう。
もちろんこの流れに乗らずひたすらに拘り続ける匠は間違いなくいるわけで、その1人である兵庫の川岸さんはむしろ流れに逆行している。
普段から雌の但馬牛だけを32,33ヶ月長期肥育する拘りを持っているのだが、それを更に伸ばす取り組みを始め、昨年初めて出荷した個体は36ヵ月から39ヵ月の3頭で、今まで食べてきた川岸さんの極上個体ともしっかりと違いが感じ取れる凄さだった。

そんな取り組みの川岸さんの神戸ビーフだが、今回は2016年初っ端の超長期肥育の個体。
個体識別番号1409329082
血統は丸宮土井-福芳土井-照長土井
月齢36カ月、雌
タレのベーシック焼肉スタイルに突入する前に少しだけプレーンで楽しませてもらう。
クリ、トウガラシ、三角バラの3種類だが、驚かされるのはサシが強くて敬遠されがちな三角バラが驚くほど軽いこと。
サシは甘みと広げるが、決してベタつかず、挙句赤身の味まで舌に広がるほど。
更に凄かったのがクリで、風味とコクのある旨みは普段食べているそれとは別次元。
噛むという行為が舌から心に幸福を運んでくれる。

(クリ)

(トウガラシ)

(三角バラ)

タレでは他のお客さんのことを忘れ、仕入れたほぼ全ての部位をオーダー。
ちなみに翌日訪れた知人からは非難を浴びてしまったのだが、正直あまりに肉が旨すぎて反省など出来なかったのだが。。。
肩芯はタレによって肉の味が見事に浮き立てられ、旨みも食感もこれ以上ないレベル。
巻きはこの日最も衝撃だった部位で、蕩ける食感ではなく、プリプリとした”くいしんぼー山中”で食べる福永さんの巻きのようだった。
クリもプレーンで食べた時と同じように普段食べているものとは別次元。
どれもこれも本当に凄すぎる。
(肩芯)


(巻き)


(エンピツ)



(クリ)

(トウガラシ)

ミスジ


(ウワミスジ

(ザブトン)

(三角バラ)

今まで焼肉として食べた個体の中では最上級に君臨する凄みに圧倒されっぱなしだ。
こんな個体を食べたことがある人がどの位いるのだろうか!?
これから定期的に出荷されるであろう川岸さんにより超長期肥育の但馬牛だが、頭数は相当限られている。
雌なら、血統が凄いなら、月齢が長いなら全ての個体が旨いわけではない。
これらを含めて飼料から日々の細かな管理に至るまで、全てを拘り尽くした結晶の味わいが感じられた。
ここまで違いを感じさせてくれる個体を食べれる機会があることに感謝しなくてはならない。
ちなみにこの日は贅沢にも生の黒タンの根元2本分の厚切り上タンも一緒に食べてます。
【東京黒タン物語】としてFacebookにもあげてますが、本物に拘った黒タンは別格の旨さです。






ハラミもです。