No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年3月22日 和牛焼肉 KIM

「和牛焼肉」という冠が付く”キム”だが、その楽しみ方は焼肉以外にもある。
もちろんベースの焼肉は旨い。
何故なら肉が旨いから。
さらに、以前よりも赤身の味が強い個体を仕入れる様にもなってきている。
タレについては好みが分かれるところだが、ワインを飲む方はほぼ皆さん絶賛してくれるので、ワインをはじめとしたお酒との相性を強く意識して作られているのかもしれない。

で、焼肉以外の楽しみ方とは何か?
そう思った方はすぐに予約の電話をし、お任せコースをお願いして欲しい。
初めての方は通常のコースを勧められると思うので、その場合は素直に従い、通常コースを満喫した後にその場で次回のお任せコースを予約してみてはいかがだろうか!?
勿体ぶっても仕方ないので、お任せコースの一例を紹介したい。
この日はヒレの炙りと春キャベツのナムルから始まった。
ヒレのしっとりした食感としっかり感じられる肉の旨さにそのポテンシャルが分かるはず。


頬肉の刺身には橙のジュレがかけられ、頬肉の味わいを引き締めてくれる。

白センマイはあっさりとした三杯酢で味付けがされていて、抜群な歯切れが鮮度の良さを感じさせてくれる。

焼肉屋さんなので焼き物も出る。
タンの根元部分は繊維に沿ったアレンジカットで、場所による食感の違いや脂のノリの違いを感じる。




正肉はシャトーブリアンとサーロイン。
シャトーブリアンはもちろん旨いのだが、”キム”に来たのであればサーロインは絶対に食べるべき。
サシが入っているのだが、脂の重たさを感じさせない雌牛らしい極上のサーロインが味わえる。





刺身でも食べた頬肉はコンソメ煮込みにされ、箸で簡単に千切れる程柔らかくなっている。
何よりコンソメスープが滋味深く、料理としての完成度が異常に高い。


見事な火入れのスモークタンは箸休め的存在。

テーブルのロースターで焼かずに、厨房で焼かれてきたのはホルスタインヒレとサーロインのステーキ。
火入れは上手だが、ヒレはやはりパサパサ感を否定出来ない。



サーロインは黒毛和牛のサーロインとは全くの別物だが、それなりには食べれる。
肉というよりオニオンベースのステーキソースの旨さの方が気になってしまった。


タレの焼き物はウチモモとミスジ
どちらも甲乙付け難いが、ここまでしっかりと濃厚な味のミスジには滅多に目にかかれない。
ウチモモも旨し。




“キム”のお任せコースを体験するのであれば、ハンバーガーは絶対にリクエストした方がいい。
パティは毎回変わるが、この日はユッケハンバーグ。
料理長手作りの小麦の香りが強いバンズが異常な旨さで、世の中のハンバーグの中でこれ以上はなかなかない。
ソースはメキシカン風で、最後に全体のバランスを見事に整えてくれる。


ハンバーガーで〆と思いきや、タレの焼き物第二弾はウワミスジとイチボ。



最後の最後の〆は刀削麺
これまた料理長の手作りの刀削麺で、辛さの後に肉の旨みがしっかりと感じられる。

お任せコースを食べ終えても、料理長の多彩なレパートリーへの興奮はすぐにはおさまらない。
和牛焼肉は旨い。
そして和牛料理は本当に旨い。
まだまだ十分な開拓がされてないだけに、これからどんな和牛料理が食べれるのか。
ワクワクしながら次回の予約を入れよう。