No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年7月4日 神戸牛炉釜炭焼ステーキ IDEA 銀座

牛肉を突き詰めた先には何があるのか。
一切の妥協を排した牛肉はどんな味わいなのか。
同じブランドでも、同じ生産者でも、同じ部位でもブレがあるのは間違いない。
その中でとにかくピンのピンを食べるという会が本気の和牛会である。
日本一のステーキ屋と呼ぶに相応しい”IDEA銀座”が仕入れる最高の牛肉に、私が準備した最高の牛肉を食べ比べる。
肉をシンプルに焼くというジャンルにおいて、もはやこれ以上のステーキが存在するとは思えないほど最高の素材、炉窯を使った菅井さんの究極の火入れ、この2つが作り出す世界には言葉を失ってしまう。

タン厚切り炭火焼ステーキ
黒毛和牛の中でも、東京では滅多にお目にかかれない但馬牛のタン。
その根元を贅沢に厚切りにし、炉窯で火が入れられる。
柔らかいだけでなく、独特の弾力に富んでいて、実に歯切れが良い。
肉汁に詰め込まれた旨みが歯茎を伝い解放される。
満足度 5+



シャトーブリアン
田村さん(兵庫県)肥育、神戸ビーフ、雌
個体識別番号1409197810、月齢34カ月
千代藤土井-丸宮土井-福芳土井 (純但馬)
純但馬血統の田村牛は、通常の田村牛とはっきり違う。
絹糸を束ねたような肌理の細かさ、コクと香り、その余韻も含めて、今まで食べてきたヒレとは一線を画す。
素材の持つ旨みを昇華させる火入れの技術も申し分ない。
満足度 5+





ウチヒラ
川岸さん(兵庫県)肥育、神戸ビーフ、雌
個体識別番号1375139661、月齢36カ月
照忠土井-福芳土井-第2安鶴土井 (純但馬)
昨年初めて試みで超長期肥育にチャレンジした川岸さん。
昨年は3頭出荷し、今年は今回の個体で2頭目
想像を上回る柔らかな食感だが、肉の味は想像を遥かに上回る。
喉の奥まで響くような純度の高い旨みを持ったウチヒラは、人生最高のウチヒラと言える。
満足度 5++



リブロース
福永さん(滋賀県)肥育、近江牛、雌
個体識別番号1374824681、月齢32カ月
丸富土井-谷福土井-菊俊土井 (純但馬)
“くいしんぼー山中”で食べれる福永さんの純但馬血統の近江牛
今回の個体は福永さんにしては月齢が浅め。
しかし肉の味は強く、飲み込んた後も余韻が消えない。
満足度 5+



サーロイン
瀬畑さん(山口県)肥育、見島牛、雌(未経産)
個体識別番号1210691576、月齢133カ月、純血種
外国の品種の血が一切混じっていない純血種の見島牛は天然記念物として管理され、年に数頭の去勢のみが肉用として出荷されている。
雌に関しては、子牛を産めなくなった経産牛が何年かに一度出荷されるのみと思われていたが、今回は何と未経産の雌。
種が付かなかった不妊症の雌というのは、今後出てくるのかどうかも分からない。
とにかく一生に一度の希少な個体と言えるだろうし、それを炉窯で焼いてもらえるという奇跡には感謝しかない。
そのサーロインはとにかく小振りで、今まで見てきたどんな和牛とも違う。
肉繊維は柔らかく、以前”ボニュ”で食べた経産の見島牛のような脆さを感じさせる柔らかさではない。
味わいはしっかりとしていながら、クリアな印象。
菅井さんのレアな火入れが、素材のポテンシャルを完璧に引き出している。
満足度 5+



サーロイン
田村さん(兵庫県)肥育 神戸ビーフ
個体識別番号1375156910 月齢36カ月
芳悠土井-菊俊土井-照菊波 (純但馬)
シャトーブリアンとはまた違った個体の純但馬血統の田村牛。
かなりサシの入ったサーロインだが、この脂質にはとにかく驚かされる。
ベタ付きが一切なく、ゼリーの様な食感で濃密な旨みが舌に絡みつく。
最高の霜降りの見本と言っても過言ではないサーロイン。
満足度 5++



サーロイン
川岸さん(兵庫県)肥育 神戸ビーフ
個体識別番号1375139661 月齢36カ月
照忠土井-福芳土井-第2安鶴土井 (純但馬)
今年2頭目の超長期肥育のロースとヒレは全て”三芳”に送られることになっていたが、お願いして何とかサーロイン骨1本分分けてもらうことが出来た。
凝縮した旨みがパンパンに膨らんだようなサーロインは、どんな肉を食べてきたのかを問いかけるような衝撃。
旨みの奥行きと幅がとんでもない上に、旨いの質そのものが段違い。
満足度 6




本物の選び抜かれた牛肉を食べてもらいたい人達がいる。
本物を本物として評価してくれる人達。
ここまでの牛肉はなかなか食べれるものではないが、拘りに見合った評価をしてくれる人達がいるからこそ、関係する全ての人達がとことん拘れる。
そんな想いを持ちながら、本気の和牛会を続けていきたい。