No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2008年6月19日 よろにく

昔の会社の先輩と一緒に焼くことになった。
しかも焼き最適人数の4名を大幅に上回る9人というかなりの大人数での焼きである。
焼肉屋さんで出てくるお肉は1皿で4枚から5枚が基本なので、色々な種類のお肉を効率的に食べるには4人はベストなのである。
4の倍数の8人や12人というのもあるが、大人数だと中には焼きの下手な人がいる。
そういった人へのフォローは人数が多いと非常に難しいのだ。
まずは、ぶつ切りユッケ・牛刺し(トモサンカク)・白センマイの刺身盛り合わせ。
ユッケ・白センマイはなかなか旨い。
味付けも上品で、これから肉を焼く気分をおおいに盛り上げてくれる。
よろにくでは、トモサンカクは焼きでは出さずに刺身で出すのだが、このトモサンカクがめちゃ旨い。
甘みと口の中でゆっくりと蕩けていく感覚が何とも言えないのだ。

この日は大人数のため奥まった場所に座っており、担当の店員さんもいつもの達人の店員さんではなかったが、焼きに入る前に付近を通った達人と目が合った。
我々の存在に気づいた達人はすぐに来てくれた。
達人はいつもの広い場所の席の担当なので、我々を担当することはできないと説明してくれたが、最も焼き難易度の高いヒレは達人自らが焼くことに。
ちなみに3つに分かれたテーブルのうち残り2つは他の店員さんがヒレを焼いていた。
極上Meatを乗せる網の位置や火力を微調整しながらヒレを焼き上げる達人の焼きテクニックに今回も感服させられた。
あれは真似できるものではない。。。
達人が焼き上げたヒレは絶妙の焼き加減である。
どこまでも柔らかい赤身の上品な旨さは表現に困る。
驚かされたのは2切れ目で、火を通す面を気持ち強めに焼いた片面焼きである。
これが両面焼きとは全く違った味わい。
ヒレの片面焼き、旨すぎる。
今日食べた雌牛の、しかもヒレの一番太い部分であるシャトーブリアンは、今年食べたヒレの中で最高の旨さだった。
これは極上Meatと達人の焼きテクニックというコラボがあって初めて味わえる幸福だろう。

急いで自分の担当へ戻ろうとする達人に今日のタンのどうか聞いたが、あまり良いものはないので注文しなくてよいとのことだった。
ただ、上ハラミは良いものがあるとのことで、コースの中のハラミを上ハラミに代えてくれた。
この上ハラミにしっかりと火を通して食べると、太く逞しい肉繊維が歯と歯茎にぶつかってくる。
そして、奥歯でこの肉繊維を噛み締めると溢れ出てくる旨みいっぱいの肉汁は最高である。

上ハラミ以外の塩系はハツと中落カルビ。
ハツはいつも通りの旨さ、よろにくで初めて食べる中落カルビは見た目と違った柔らかさと脂の甘みが素晴らしかった。

ここからいよいよタレ系である。
とうがらしは赤身の旨さがしっかりと感じられる。
カメノコの柔らかい赤身の甘さが旨さを際立たせている。
赤身の旨さを堪能したら、ついに主役登場である。
まずミスジ
ジャンボ系のタレとみすじの赤身と脂の甘みの組み合わせはすごい。
ご飯が進んでしょうがない。

次のザブトンはみすじ以上だ。
ザブトンを頬張ると、ご飯にがっつくのを抑えきれない。

コースの最後はサーロイン。
ポン酢で食べるサーロインは見た目のサシから思いもよらないほどさっぱりと食べる事ができる。
そして、この蕩け具合も素晴らしい。
Meat自体もいいが、その熟成具合も素晴らしい。

コース終了後は、コプチャンとミノサンドでホルモンを堪能した。
よろにくは正肉以外のホルモンもかなりのレベルである。
素麺を食べるかどうか悩んでいると、店員さんがやってきた。
オーナーから差し入れがあるとのこと。
さっぱり系とこってり系のどちらが良いか聞かれたので、ちょっと悩んでやはりこってり系をお願いしてしまった。
登場したのは、前回のよろにくで一番感動した巻きである。
この巻きが今回も素晴らしいの一言。
厚切りとは思えない柔らかさ、そして、蕩ける脂の甘さに感動してしまった。

シャトーブリアンを抜いて、この日一番はこの巻きである。
しかし、今までよろにくが接客も最高のお店だったが、店員さんが増えてきたこともあり、接客レベルが若干落ちているのを感じた。
コースを焼ききるのに3時間近くもかかってしまったのには、正直待ち疲れた。
今回は大人数ということもあるので仕方ない部分もあるが、やはり初期の頃の精鋭揃いの店員さんになってもらいたいものだ。
それにしてもシャトーブリアンと巻きの旨さは帰りの電車でも忘れられなかったほどだった。
これはMeatがすご過ぎるのか、それとも私が変なのか!?