No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2009年4月16日 焼肉酒家 傳々

既にご存知だと思うが、傳々に不当表示で排除命令が出された。
正肉は全て神戸牛、内臓は全て但馬牛を使用していると自社のHPに表示していたのだが、実際は、正肉の20%以外は神戸牛ではなく他の銘柄牛、内臓の45%は外国産であった。
お客さんを誤解させる表示は絶対にあってはならない。
焼肉好き、そして傳々好きには非常に残念なニュースであった。
ただ、これだけは言っておきたいが、神戸牛だから旨い、と判断するのではなく、食べたお肉が旨かったかどうかを判断する事も重要なことだろう。
私は傳々で、旨い正肉にも、そうでもない正肉にも出会っている。
はっきり言って、今まで『○○牛だから旨い』等と先入観を持ってお肉を食べたことなどない。
また、牛で重要なのは銘柄ではなく、あくまで"血統"と"肥育"だろう。
つまり、確かに傳々は非常に良くない事をした、しかし、私は旨いお肉が食べたいのでこれからも傳々に行ってしまうだろう。
そして、ニュース報道後初の傳々訪問へ。
今回も高矢店長お任せなので、非常に楽しみである。
ちなみに焼きも全て高矢店長にお任せ。
高矢店長は、私が出会ったことのある人の中では数少ない私より焼きレベルの高い人だ。
ちなみによろにくのVANNEさんの焼きレベルもすご過ぎる。
お任せのスタートは刺身盛合わせから。
レバ刺し、センマイ刺し、ココロ刺し、牛刺し、タンユッケが一皿に盛られていて、見た目で興奮状態になってしまう。
どのホルモンも臭みなど皆無で、鮮度抜群なのが良く分かる。
タンユッケは前回より若干甘みが劣る印象を受けたが、数日前にきらく亭で最高のものを食べたことも影響してるかも。
牛刺しは甘みが素晴らしく、同行者も満面の笑み。

焼き1皿目はタン元とハラミ。

前回同様このタン元の色合いはすごい。
ここまでサシで白いのは、他のお店ではそうそう出会えないだろう。
この極上タン元をタレかレモンを選んで食べるのだ。
私は前回タレで食べたので、今回はレモンで。
食べて思うのは、『こりゃレモンいらないでしょ!』ってこと。
炭火で焼いた香ばしさとサクサクした表面の食感、そして、このタンの肉汁は素晴らしいね。
ただ、このタンを1.5倍か2倍の厚さで食べれたら、もっとやばいだろうなぁ〜。

ハラミは山葵を付けて片面焼きで食べる。
柔らかくほどける食感ではないが、肉繊維を噛み切る毎に野性味を感じ、旨みは非常に強い。

続いて焼き2皿目はサーロイン。
芸術的なサシとお肉の輪郭部分から伝わる熟成具合に期待が高まる。
『またサシたっぷりのお肉かよ』と思われるかもしれないが、このサーロインの旨さには言葉を失う。
これほどサシが入っていても全くしつこさなどないし、香ばしさと甘さが最高の組み合わせである。

次はホルモンへ移行して上ミノ。
ここでも高矢店長の焼き技が冴える。
一皿まとめて網の上に置いたかと思えば、これを絶妙な焼き加減で仕上げていく。
シコシコとした食感が堪らない上ミノである。


そして傳々でしか食べれないと思っているホルモン。
しっかりとした下処理で、相変わらずの旨さ。
このホルモンがあるからこそ、私は何度も傳々を訪問してしまうのだ。

ホルモンの次はタレ系の盛合わせで、中身は内モモ、イチボ、ハネシタ。

内モモもイチボも赤身の旨みが強い。
そして、部位的には近く、同じ赤身であるが、味わいの違いがはっきりと分かる。
赤身の旨さを再認識したのも束の間であった。
ハネシタの香りと甘みに高矢店長と目が合ってしまった。
赤身とサシのバランスも素晴らしく、最高の旨さである。

続いてはロース芯。
先ほどのサーロインに近い部位であろうが、こちらの方がサシが若干少なく、赤身の旨みを感じやすい。
ハネシタの後に、まだこんな極上ロースがあるとは恐ろしい。
ご飯を巻いて食べたが、あまりの旨さに一同顔を見合わせた。

最後に登場したのは何と極上のヒレ
片面に胡麻を満遍なく振りかけてある。
この胡麻を焼き上がる直前に、網にこすり付けて落とすのだ。
これは繊細なヒレの肉繊維を焦がさない為だろうか。。
この肉厚なヒレのなんとも香りのいいこと。
そして、口の中が上品な赤身の旨みでいっぱいだ。



最後は冷麺で〆。
前回に引き続き、今回も相変わらずの大満足。
これほどのMeatを食べさせてくれるお店は、そうはないであろう。
そして、これほどのお店だからこそ、今回のニュースは本当に残念な内容であり、あってはならないことであった。
ただ、高矢店長の『一から出直します。』という言葉を信じて、私は傳々を応援したい。