No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年3月27日 くいしんぼー山中


最初の驚きは予約の電話をかけた時。
受話器を取った店主の第一声は、大きな声で「はい、くいしんぼーです!」だった(笑)
店名が"くいしんぼー山中"なのだから、「くいしんぼーです!」というのは十分有り得るのだが、いきなり「くいしんぼーです!」と言われて、思わず笑いを堪えてしまった。
次の驚きはお肉を見せてもらった時。
一概には言えないが、お肉の赤身の部分の色はピンク色よりも小豆のような濃い色の方がしっかりした味わいが感じられる場合が多いので好きだが、山中さんが見せてくれたお肉の色は今まで見たこともないような濃い色であった。
サシは一般的な黒毛和牛と比較するとかなり少ない。
特にヒレは赤身の塊だ。
だが最も驚かされたのは食べた時。
最上近江牛特選ロースステーキ
山中さんがリブロースを切り分け、丁寧に掃除してから鉄板で焼いてくれるが、焼き上がった断面もあの濃い小豆色を残していて、見た目はレアっぽい感じがする。
食べてみると、鮮度の高い魚のような弾力が程よくあり、熟成とは対極の透明感がある。
ただ、お肉そのものから溢れる味わいは深く、最後の1片まで至福の旨みを感じさせてくれる。
満足度 5+





最上近江牛特選ビフカツ
ビフカツはメニューにある特選ヒレカツではなく、最上近江牛特選ヒレステーキに使うヒレをカツにしてもらう。
揚がったヒレカツの断面は、これもまた濃い小豆色を見事に残している。
ヒレの繊細な味わいを100%残すかのようなレアな火入れで、衣やデミグラスソースとの相性も抜群。
全て凄いのだが、お肉自体はちょっと他では真似できないレベル。
満足度 5++



ハンバーグステーキ
ロースステーキとヒレのビフカツ目当ての来店で、ハンバーグは軽い気持ちで食べてみたのだが、そんな自分を心底恥ずかしく感じるほどの衝撃。
柔らかいのだが柔らかすぎず、お肉に粘りがあり、口の中で牛肉の旨みを前面に押し出してくる。
ハンバーグで感動したのは生まれて初めて。
今まで食べたハンバーグの全てを一瞬で抜き去る衝撃。
満足度 5

コンソメスープ
温かいのと冷たいのがあり冷たい方を選択。
"かわむら"の透明度のあるコンソメとは違うのだが、牛肉の力強さが更に凝縮したようなコンソメスープだ。
満足度 4

タン
タンがあると聞いて焼いてもらった。
脂っぽさが全くないのだが、物足りなさは感じない。
旨みが非常に濃厚なタンで、プリッとした食感も独特と言える。
満足度 4

ガーリックライス
牛肉がゴロゴロで私が知っている一般的なガーリックライスとは別物で、牛肉炒飯といった雰囲気。
だが、これが驚くほど旨い。
とにかく牛肉が旨い。
満足度 4

近江の契約牧場から仕入れるお肉。
但馬牛の雌牛を素牛とし、36から37ヶ月かけて肥育されているのだ。
そしてサシを入れるようなビタミンコントロールを一切しない育て方。
このお肉が人生で1番旨いかどうかは分からない。
確実にtop5には入るだろうが。
ただ、この牛肉は今まで食べてきている牛肉とはベクトルが明らかに違う。
間違いなくonly oneの牛肉だ。
こんな牛肉に出会えたことに感謝し、感動している。
こんなお肉があることを知れただけで関西を訪れた価値がある。
こんな牛肉があるからこそ、私はより牛肉の世界にのめりこんでしまう。
間違いなく一生忘れられない牛肉であった。