No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年9月29日 焼肉 すどう 春吉



溢れだすほどの熱意と研鑽された技術を持つ職人は新たな境地に辿り着いていた。
高級食材に頼ることなく、焼肉屋の食材の範疇で作り出される作品。
他店の良いところは貪欲に吸収するが、決して単なる模倣ではない。
オリジナリティもふんだんに溢れている。
何より“くにもと”で7年修行した経験に裏打ちされた最高峰のトラディショナルな焼肉もある。
そして扱われている肉質は全国から厳選されているが、それが驚くほど良心的な値段に提供されている。
全ての肉を焼いてもらえるスタイルのコースがとにかく素晴らしい。
前菜盛合せ
リブ芯の牛刺しは素材の味わいだけでなく、それにクルミで香りと歯応えのアクセントを加えてある。
ユッケはタレの甘みと肉の甘みがバランスよく絡み合う。
ユッケの手巻きはタレをご飯が受け止め、海苔の香ばしさも加わる。





タンの焼きしゃぶ
一般的な繊維に対して垂直なカットではなく、繊維に水平なカットで極薄なカット。
軽く炙って丸めた後に柚子ポン酢と合わせると、極薄とは思えないほど素材であるタンそのものの旨みの輪郭が浮き上がっている。



タン元
一般的なカットのタン元には、薬味に焼きネギのパウダー。
香ばしさがあり、味がきっちりと引き締まる。



巻き
リブ芯の周りの巻きは川岸さんの神戸ビーフ
極上の脂が炭火に反応し、豊かな甘みを引き出される。
ミョウガ、ネギ、大葉に燻製醤油という味付けにかなりハマる。



ハラミ
“くにもと”では見られない分厚いカットのハラミはきっちりと火を入れ、コクのあるタマネギのペーストと合わせる。




サーロイン
博多和牛のサーロインはしっかりとサシが入っているが、モミダレとツケダレの絶妙なタッグのおかげで驚くほどあっさりとしている。


リブ芯
川岸さんの神戸ビーフのリブ芯は滑らかな舌触りと濃厚な赤身の旨みが舌の上を通っていく。

サーロインのしゃぶしゃぶ
田村牛のサーロインを使ったしゃぶしゃぶは”三芳”っぽさを感じさせる雰囲気。
上品な旨みが引き出されたしゃぶしゃぶで、肉の旨さが前面に出ている。
胡麻ダレもかなり好み。


ヒレ
田村牛のヒレのモミダレは牛蒡の風味が効いていて、低温調理された溶き卵のまろやかさとうまくマリアージュする。
肉だけの旨さも申し分ない。




イチボ
同じく田村牛のイチボ。
脂のある部位でも抜群に旨い。


“すどう”流ダメ人間セット
田村牛のイチボで”虎の穴”のダメ人間セットをアレンジ。
タデギを効かしたタレで御飯が進んで進んで仕方ない。


リブ芯の炭火焼きステーキ
川岸さんの分厚いリブ芯のステーキは見事な火入れ。
焼肉屋でナイフとフォークというのも初めての経験w
ステーキは旨みが凝縮した塊で、サシの甘みは赤身の味わいを下から支えるように押し上げる。
最高の肉質と完璧な火入れが生み出す芸術だろう。



テール
焼き上がったテールは”やまがた屋”っぽさを感じるが、”すどう”では生姜醤油漬けにしたテールを焼いている。
一般的には脂の強さが気になりがちなテールだが、脂の重たさがなく、肉の味がうまく引き出される。


レバ
ニンニク醤油にさっと漬けられたレバ。
甘みがあって旨い。


センマイ
センマイの根元特有のジューシーでサクサクの歯応えが素晴らしい。
柚子胡椒の効いた味付けも最高。

塩ホルモン
ミノとギアラ。
ザクザクとしたミノの食感、凝縮感のあるギアラ。
こちらではギアラのことをピッチと呼ぶそう。


タレホルモン
シマチョウは歯切れが良く、タレの旨さが脂とマッチしている。
ヤンとコリコリは抜群の食感。




カレーライス
〆のカレーライスはスパイスが効いたスープカレー風。

ここまで感動する焼肉はいつ振りだろうか。
飽くなき探求心が生み出す次の一手を体験するために通わなくてはならない。