No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年11月15日 銀座 うかい亭


20年前、私に和牛の凄さを教えてくれ、偶然にも田村牛をその時に初めて食べた”うかい亭”。
個人的には牛肉の世界にどっぷりと浸かるきっかけを与えてくれたのが、その20年前からお世話になっている小池さんだ。
小池さんは当時”横浜うかい亭”で焼いていたが、その実力を認められ、それから他の店舗の料理長になり全店舗の焼き手の頂点まで登り詰めた。
そして今年定年を迎えたが、後進の指導の為に”うかい亭”に残っている。
そんな小池さんに無理を言って、肉好きの為の鉄板焼きの会を開催。
ウチモモのカルパッチョ
味の乗った上質なウチモモにたっぷりのトリュフが削られている。
トリュフの香りと内モモの相性が良い。


黒毛和牛のタンの赤ワイン煮
こっくりとしたまろやかさとコクのあるソース。
タンは口の中でほどけるように消えていく。

オックステールのスープ
牛肉の旨みの全てを水分に移したかのような濃厚な旨み。
ホロホロのテールも出汁ガラではなく、ちゃんと旨い。


鮑の岩塩蒸し


ヒレのうかい亭風ポアレ
分厚いヒレは鉄板でそのまま焼くのではなく、銅鍋の中でインカのめざめと一緒にじっくりと柔らかく火を入れていく。
ヒレに一切のストレスを与えることなく中心まで火が入ると、プルンプルンに仕上がる。
ヒレからは赤身本来の旨みが広がり、インカのめざめの甘みが絡み合う。







サーロイン
均一にカリッとした火入れが出来るのが鉄板だからこそ。
油っぽさとは無縁と言える。
サーロインの肉片を噛み締めれば、カプセルが破れたようにジューシーな旨みが溢れる。





ミスジ
〆のご飯としてすき焼き風のミスジ丼。
これが旨くないわけがない。


はたして“うかい亭”を鉄板焼きというジャンルの枠に入れてしまって良いのだろうか。
お決まりの野菜焼きに始まり、新鮮味のないコース内容、最後はなんとなく焼かれたステーキ。
これが繰り返される限りなかなか鉄板焼きに足が向かない。
だが“うかい亭”は違う。
いつ行っても、何回行っても新鮮味が薄れない。
料理そのもののクオリティが違う。
私の好みを完全に抑えたスペシャルは肉の旨さをしみじみと教えてくれる。
小池さんは今年定年を迎えてしまったが、“うかい亭”に頼まれて後進の指導に努めながら今では断れない指名だけ対応しているとのことw
これからも可能な限り”うかい亭の小池さんが焼いたお肉を食べ続けたい。