No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2017年5月10日 にくの匠 三芳



死んでもおかしくないほど牛肉を、和牛を食べ込んできた中で出会った究極。
現時点で究極と思えるお店は3つある。
その全てが、これ以上は存在しないと思える最高峰の素材を仕入れ、誰も真似の出来ない磨き抜かれた技術で調理を行う。
その3つのうちの1つが”三芳”。

お肉のお出汁
出過ぎないほこりとした旨みを舌と鼻で楽しむ。

タンの昆布締め
三芳”唯一の定番がこのタンの昆布締め。
程よく水分が抜け、旨みが凝縮したタンが舌を刺激する。

イチボのたたき
川岸さんの神戸ビーフのイチボ。
イチボは生でも焼いても旨い部位だが、このたたきという調理法に最もあう部位ではないだろうか。
絶妙に香ばしさが加わりながらも、しっかりと生に近い甘みがじわーと広がる。
これより旨いたたきは食べたことがない。

新小芋、芋茎、海鼠子のテール出汁かけ
日本料理白帯の私には説明が非常に難しいが、とにかく旨い。
テール出汁も強すぎず、調和の取れた旨さ。

サーロインと剣先烏賊
餅米の上に永田さんの特産松阪牛のサーロインと剣先烏賊が乗り、そこにトリュフと黄身醤油。
じんわりとした旨さというより、口に入れた瞬間に弾ける爆発的な旨さ。
その中でもサーロインのしっかりとした自己主張に頬が緩む。




ヒレカツ
丸宮土井をご存知だろうか!?
兵庫県の但馬牛の種牛の中でも歴代最高と言われ、経済効果は何十億なのかも分からないほどのスーパー種牛だ。
近年出会った神戸ビーフの血統を見ると、丸宮土井の血が入ってない方が珍しいほどであった。
そんな丸宮土井がお役目を終え、ひっそりと屠畜されていた。
そしてその丸宮土井のヒレが”三芳”にある。
決して味ではない。
供養のようなものかもしれない。
とにかく感謝の気持ちでヒレカツをいただいたが、予想していたような雄特有の臭みもなく、ちゃんと味のある旨さであった。
ありがとう、丸宮土井!




冷菜
新玉ねぎ、アスパラ、ウニ、キャビアに、勢戸さんの神戸ビーフのスネからとったコンソメジュレがかけられる。
コンソメジュレが濃厚で、これが旨くないはずがない。


しゃぶしゃぶ
特産松阪牛のサーロインでしゃぶしゃぶ。
しゃぶしゃぶにすると肉の味が弱くなるようなイメージがあるが、これは全く違う。
すき焼きのような厚さというのもあるが、噛み締めると舌を包み込むような旨みが湧き上がる。
贅沢に芯だけ削ぎ出されているため、食感はどこまでも滑らか。



ヒレステーキ
川岸さんの神戸ビーフシャトーブリアン
シルクのような繊細過ぎる舌触り。
そしてそれとは真逆のインパクトの強い旨み。
飛び抜けた逸品。



サーロインステーキ
永田さんの特産松阪牛のサーロイン。
月齢48か月という事実だけでその凄さの一端が伝わるだろうが、その肉片を噛み締めれば別次元の旨さに悶える。






今回はシンプルなメニュー構成だが、素材のインパクトがとんでもなく強い。
店主・伊藤さんにしか到達できない表現の素晴らしさに身体中の力が抜ける。
伊藤さんの料理を食べると、究極という言葉の真の意味を知ることになる。