No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年2月24日 自宅(銀座吉澤)

和牛肥育が盛んな東北の中でも一際こだわりを持った生産者が多い岩手県
そんな岩手県の奥州牛を食べて、痺れるような感覚を味わったことがある。
奥歯が肉に吸い込まれるように入っていき、スポンジから溢れるような旨みのエキス、それでいて水っぽさや脂っぽさではなく、ピュアな肉の味に舌が包み込まれるようだった。
この個体を肥育したのが岩手県奥州市水沢の生産者・佐々木(譲)さんだった。
それ以来、何度か佐々木さんの奥州牛(水沢牛)を食べているが、その味わいは霞むどころか、膨らんでいくばかり。
普段は但馬の血統が濃い個体を中心に肥育している佐々木さんが、純但馬血統の肥育を始めたのは2年ちょっと前。
私も淡路島で行われる但馬牛の子牛のセリで佐々木さんに偶然会ったこともある。
その佐々木さんの純但馬牛が遂に出荷され始めた。
今回、運良く食べれたのは、個体識別番号[1339091592]、月齢35ヶ月の雌の純但馬牛。
血統は丸宮土井-照長土井-谷福土井。
ランプは厚切りでステーキに。
がっしりとした食感を想像し奥歯に力を込めると、意外なほど抵抗感はなく肉の中に奥歯が入り込む。
それでいて、溢れる肉汁は濃厚なエキスで出来上がっている。

ロースはすき焼きで。
判が小さなロースは適度に水分が抜け、旨みが凝縮し、割下にも負けない味わいを持っている。
サシが溶ける柔らかさではなく、肉繊維がほどけていく柔らかさがあり、ご飯片手に一気に食べてしまった。


佐々木さんが肥育した純但馬牛。
どちらにも魅了されている私からすると奇跡のタッグだが、その期待をしっかりと上回る結果をみせてくれることが凄い。
佐々木さんの肥育であれば、あと数か月、月齢40ヶ月位の純但馬牛も食べてみたいという期待も高まる。
もしそんな牛が出荷されたとしたら、何があっても食べずにはいられない。