No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年12月13日 神戸牛炉釜炭焼ステーキ IDEA 銀座

【第6回本気の和牛会】
世の中は情報が溢れている。
情報が溢れているが故に、その情報を取捨選択する必要がある。
しかし、その取捨選択が本当に難しい。
色々な和牛が市場に出回っている中で、残念ながら中身の伴わない消費者ウケのいい上辺のキーワードだけの最高級和牛があるのは否定できない。
最高の和牛を食べたい、本物を知りたいと想う方がいるのであれば、それを叶えたい。
それがこれからの和牛業界の為になると信じているから。
こんな趣旨で始めた『本気の和牛会』も数えること第6回。
今回も飛び切りの和牛を炉窯で焼いてもらい、その拘りの詰まった本来の味を堪能することが出来た。

黒毛和牛のタン
何本もある黒タンの中から菅井さんが選んでくれた1本。
根元のみを厚切りにし炉窯で焼くと、表面はミリ単位でカリッと仕上がり、内部はプルンプルンの滑らかさと奥歯で噛めば肉繊維の断ち切れる心地良い食感が奥歯に響く。
焼肉屋のロースターで何度試みても、この仕上がりにはまだまだほど遠い。
そして脂のベタツキが一切ない為、ストレートに旨みが押し寄せる。

シャトーブリアン
シャトーブリアン3種類の食べ比べは贅の極み。
同時に食べ比べることでその肉の輪郭がくっきりと浮かび上がる。
肌理の細かな肉繊維でも繊細さはそれぞれ違う。
香りも違う。
旨みの強さだけでなく、旨みの質というか種類までもが違う。

勢戸さん肥育、個体識別番号1354472307、神戸ビーフ、雌、月齢32ヶ月
血統は丸宮土井-福芳土井-照長土井




上田さん肥育、個体識別番号1445176060、神戸ビーフ、雌、月齢37ヶ月
血統は芳山土井-丸宮土井-菊俊土井




佐々木さん肥育、個体識別番号1352955086、岩手奥州牛、雌、月齢36ヶ月





ウチモモ
三芳”で食べた川岸さんの神戸ビーフと同じ個体のウチモモは、表面はカリッと絶妙な火入れだが内部はしっとりとした口当たりで、肉がギュッと締まってしまう直前であり旨みが引き出されたお手本のような火入れ。
そんな火入れがされたウチモモは素材の爆発的な旨みが詰まっている。
川岸さん肥育、個体識別番号1375153773、神戸ビーフ、雌、月齢38ヶ月
血統は芳悠土井-菊俊土井-第2安鶴土井




サーロイン
〆のサーロインはゼリーのような舌触りだが、決して脂のベタツキを感じない。
赤身の肉繊維の間に溶け込んだ甘みが口の中で再び顔を見せる。




ここまで最高峰が出揃うのも年末ならでは。
生産者のこだわりが詰まった素材を東京どころか日本を代表する焼き手・菅井さんが焼く。
これ以上の贅沢なステーキはない。