No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年7月8日 銀座 ひらやま


東京の”ゆたか”と言えば今は銀座にあるが、昔は八重洲にあった。
“かわむら”の河村さんが料理長を務めていたのも八重洲時代の”ゆたか”である。
そして八重洲の”ゆたか”で河村さんの後輩として働いていたのが平山さんなのだ。
最近はどこのステーキ屋さんに行ってもそうだが、流れに身を任せていれば平山さんも自然と肉だらけのコースを組んでくれる。



フィレミニヨンを使った炙り刺しに始まり、タルタルは非常にバランスが良く一口食べる毎に笑みがもれてしまう。

冷製ローストビーフコンソメジュレがかけられていて、さっぱりとしていながら、しっかりとした肉の味が楽しめる。

またテートを叩いて炙ったカルパッチョは、野菜不足になりがちな私への優しさも感じられる。

一見サシがキツそうなサーロインは冷しゃぶとして出されるが、驚くほど肉の味が深い。

メインの前にコンソメスープは純度の高い牛肉の味を野菜の旨みが包み込み、飲み進めるれば飲み進めるほどその味の虜になる。

それにしても平山さんの肉料理はとにかく贅沢だ。
ヒレやサーロインでも芯の部分しか使わず、周りは全て削ぎ落としてしまう。
ヒレステーキとして使われるのはシャトーブリアンだが、とにかく側面を落として落として落としまくる。
ヒレの中で最も判の大きな部位でありながら、焼き台に乗せられる頃にはフィレミニヨンかと思うほどの判の大きさになっている。
そして火入れも見事としか言いようのない仕上がり。




ちなみにここで削ぎ落とされた肉は、翌日のランチ用のハンバーグ等に使われるのでご安心願いたい。
ランチ用のハンバーグでも贅沢なのだが、夜のハンバーグはそんなものではなく、背徳感すら感じるほど。
ヒレはステーキで食べれるような部分を包丁で細かくし、サーロインも全ての筋や脂を外し芯の部分だけを細かくする。
これを混ぜてハンバーグにしてしまうのだ。
玉葱が食感のアクセントになっているが、包丁で叩いただけとは思えない滑らかさに驚かされる。




また、同じ肉を使ってメンチカツという荒技まで繰り出される。
低温でじっくりと揚げられた衣はしかりとしていて、素晴らしいバランスとアクセントを作り出している。

〆はもちろん牛丼。
ペラペラな薄切りの牛丼ではなく、厚みのあるサーロインを使っていて、肉のコクや旨みを存分に楽しめる。


同じ”ゆたか”出身という事で”かわむら”と比べられ易いと思うが、もはや偉大な先輩と比べる必要などない。
平山さんのオリジナリティ溢れる肉料理を堪能する為に、肉好きにはぜひ体験してみて欲しい。